樽の効かせ方は例年どおり、ブドウのポテンシャルはいまひとつ、といったバランス感で、香りの時点では期待が持てるが、口に含むとスカスカな印象を受けてしまう。香りは、カシスのジューシーな果実香がトップノートからしっかりとあり、トップノートには他にもホワイトチョコレートの優しい甘さも感じられる。ミドルノートには、タバコや黒コショウ、コーヒー、ミントなどサン・ジュリアンらしい香り。ラストノートには、スミレの花の蜜のような華やかな甘さがニュアンス程度に感じられる。口に含むと、アタックから終盤まで、ロースト感と酸味を主に感じ、果実味や甘味はあるにはあるが、相対的に弱く感じられ、少し水っぽいというかスカスカに感じられてしまう。タンニンは軽めでボディもミディアム程度。樽を弱めにしてエレガントな造りにしていたら良かったのにと惜しいヴィンテージ。

シャトー・サン・ピエール
Château Saint-Pierre
シャトー・サン・ピエールは、メドック地区サン・ジュリアンのシャトーで、メドック第4級格付けを誇るシャトーです。1693年の記録では、「スランサン」の名で存在し、18世紀末にサン・ピエール男爵に購入され、ルイ15世によってその名前を与えられた歴史あるワイナリーです。畑は、シャトー・ベイシュヴェルのすぐ裏手、デュクリュ・ボーカイユ、レオヴィル・バルトン、クリュオ・ラローズに囲まれた好立地で、やせた表土と粘土が絶妙にマッチし、カベルネ・ソーヴィニョン種に最高の条件を備えています。ブドウ畑は17haで、平均樹齢50年の老樹が高品質なブドウを育みます。手摘みで収穫され、温度管理されたステンレスタンクで発酵。続いて、新樽比率50%のオーク樽で14〜16ヵ月熟成され、清澄・濾過後に瓶詰めされます。ワインは力強くリッチながら、深遠でスケール感のある伝統的なボルドーのスタイルを体現。アンリ・マルタン氏の所有以来、品質向上が続き、ロバート・パーカー氏も「コストパフォーマンスに優れる」と高く評価しています。
7,920 円~
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ユーザーコメント

¥.$.
ヴィンテージ:2017年
評価日:2024年07月19日
香りから余韻まで非常に複雑で素晴らしいポテンシャルが感じられる。ボディや果実味はこなれてきているが、樽香はまだ荒々しく、タンニンも少し重い印象で飲み頃感はなく、少なくとももう5年くらいほしい。香りは樽由来の香りが豊富で重々しくやや刺々しい印象。サン・ジュリアンとサン・テステフの中間的な印象にも感じる。口に含むと、アタックは柔らかく、角が取れたしなやかなボディを感じさせ、果実味も穏やかで優しいが、すぐに強めの酸味やロースト感が広がり、良い頃合いに感じられるのはアタックだけ。甘味もほとんど感じられない。タンニンは滑らかだが、舌に堆積する感覚はしっかりとあり、完全に溶け込むにはもう少しかかりそう。余韻も非常に複雑で、エスプレッソ、黒胡椒、石灰、黒鉛などの風味が長く続く。今開けたのはもったいないと思えるくらい熟成ポテンシャルを感じさせるワインだった。

¥.$.
ヴィンテージ:2009年
評価日:2022年10月21日