これまで飲んだメドック格付けの17年ヴィンテージで一番パワフルかもしれない。ヴィンテージを伏せられていたら16年ヴィンテージかと思うほど。元々どのヴィンテージも樽を効かせた造りだったが、17年もそのスタイルは変わりなく、そしてそれに応えるブドウのポテンシャルも十分にある。荒々しさこそないが、まだ樽香は強く、タンニンも重々しく、飲み頃はまだまだ先。香りは、トップノートに西洋杉やタバコの煙、リキュール感のあるカシスがバランス良く感じられ、トップノートだけでパワフルな左岸ワインだと分かる。他にもブラックベリー、メントール、黒コショウ、乾いた土など。口に含むと、アタックから強烈なロースト感とそれに負けない果実味があり、強靭なタンニンのフルボディな味わい。酸味もしっかりとあり、甘味もあるにはあるが、ロースト感と果実味が頭一つ抜けて強く、他の要素は存在感が薄い。タンニンは滑らかで最初の一口こそ気にならないが、まだまだ重く、杯を重ねると舌にしっかりと堆積していき、余韻も覆い隠してしまう。余韻はダークチョコレートのほのかな甘味とタバコのスモーキーさが感じられるが、タンニンのせいで印象が薄れる。

シャトー・ランシュ・ムーサ
Château Lynch Moussas
シャトー・ランシュ・ムーサは、ボルドーの名家カステジャ家が所有するメドック格付第5級のシャトーで、ポイヤック西部に位置します。元々はランシュ・バージュと同一の畑だけでしたが、18世紀に2つに分割されました。長い低迷期を経て、カステジャ家の所有になってからは醸造所や畑の改良が行われ、往年の名声を回復しました。敷地はポイヤック最大級の広大さを誇る200ha。その中で最良のテロワールだけを選んでブドウ畑としています。ブドウ畑ではカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロが栽培され、手間と時間をかけた栽培が行われています。シャトー・ランシュ・ムーサのワインは、しなやかでしっかりとしたストラクチャーを持ち、濃く深い色調や赤系果実のアロマを持ち、早くから楽しめるのが特徴です。
5,500 円~
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アロマチャート
アロマの詳細

赤系果実

黒系果実

加工・ドライフルーツ

花

植物・野菜

フレッシュハーブ

ドライハーブ等

土・森の下草

動物系

樹木

焦げ臭

スパイス

酒類
味わい
ボディ
果実味
甘味
酸味
渋味
余韻の
長さ
余韻のテイスト
ユーザーコメント

¥.$.
ヴィンテージ:2017年
評価日:2024年06月20日
以前飲んだ12年ヴィンテージも樽ガッツリのタフなワインで、ブドウのポテンシャル以上に樽が強すぎた印象だったが、16年はグレートヴィンテージのポテンシャルが活かされ、樽の強さはそのままにつり合いの取れた仕上がりになっている。樽の強さゆえに現時点でもかなりの複雑味があり、想像以上にタンニンも軽いので、今開けても楽しめるのも良いが、果実味酸味も十分にあり、長期熟成も楽しみなワイン。香りは、初日はトップノートにバニラやマシュマロのような甘い香りとバラの華やかな香りが強く、燻製肉や黒胡椒、ローズマリー、エスプレッソ、タバコなどは二日目も力強く香り続ける。口に含むと、アタックから果実味と酸味、そしてロースト感が強く、それゆえか甘味は香りの印象からするとかなり控えめに感じられる。タンニンは非常に滑らかで、ボディもフルボディとまではいかず、パワフルなワインなことには違いないが、飲み疲れることはない。余韻も複雑で長く、初日はバニラの印象が強く、二日目はローズマリーとエスプレッソの印象が強い。

¥.$.
ヴィンテージ:2016年
評価日:2023年05月27日