アンセイヤン
Anseillan
シャトー・ラフィット・ロートシルトは、ボルドー地方ポイヤック地区に位置する、世界的に著名なワイナリーです。19世紀末にセカンドワイン「カリュアド・ド・ラフィット」が誕生して以来、約1世紀ぶりに新しくリリースされたワインが「アンセイヤン」です。このワインは、ラフィットの高品質をより手軽に楽しめることをコンセプトに作られています。アンセイヤンは、ラフィット・ロートシルトの東側、シャトーとジロンド川河口の間に位置するアンセイヤン村のブドウから造られます。この地域は多様なテロワールを持ち、ラフィットの典型的なテロワールよりも冷涼で、粘土質の土壌が広がっています。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドの4種の主要品種の栽培に適した区画が存在し、複雑で個性豊かなワインを生み出す土壌となっています。アンセイヤンは伝統的なボルドーの製法で醸造されます。発酵は木製、コンクリート、ステンレスタンクで行われ、ソフトな抽出を目指した穏やかなポンピング・オーバーがそれぞれのタンクの特徴に合わせて実施されます。マセラシオンは約20日間続きます。マロラクティック発酵後、ポイヤックのドメーヌ・デ・トヌルリーで製造されたフレンチオーク樽で約16ヶ月熟成されます。この丁寧な醸造過程により、ラフィットらしい風格を備えつつも、より親しみやすい価格帯で楽しめるワインに仕上がっています。1970年にエリ・ド・ロートシルト氏によってラフィット・ロートシルトの所有地となったアンセイヤン村は、16世紀から続く小さな石造りの家々が集まる集落で、かつてはラフィットの農家やブドウ栽培家の居住地でした。現在もラフィットの関係者が暮らし、子供を育てている、歴史と地域社会に根ざした場所です。アンセイヤンというワインは、単なる商品名ではなく、ラフィットの歴史と価値観を体現するシンボルと言えるでしょう。
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