
バッド・ボーイ
Bad Boy
ジャン・リュック・テュヌヴァンは、かつてDJとして働いていた異色の経歴を持つ人物です。ワイン造りの素人だった彼は、シャトー・オーゾンヌのオーナー、アラン・ヴォーティエ氏との出会いをきっかけにワインの世界へ飛び込みました。1989年、妻ミュリエルと共にわずか0.6haの畑を購入し、シャトー・ヴァランドローを設立。当初は醸造設備を購入する資金もなく、最初の収穫は共同組合に販売していましたが、アラン・ヴォーティエ氏の指導と醸造設備の提供を受け、ワイン造りをスタートさせました。バッド・ボーイは、ジャン・リュック・テュヌヴァンが「多くの人に楽しんでほしい」という思いを込めて造る、遊び心溢れるワインです。2005年にファーストヴィンテージがリリースされました。このワインは、高品質でありながら低価格を実現するため、あえてAOCボルドーの規定に縛られず、サン・テミリオン、その衛星地区、ポムロール、フロンサックなど複数の地域のブドウをブレンドしています。これは、従来の原産地呼称制度への挑戦であり、その気概の表れが「バッド・ボーイ」というネーミングに込められています。ラベルに描かれた黒い羊は、型破りなワインであることを象徴しています。この名前は、ロバート・パーカー氏がテュヌヴァン氏を「バッド・ボーイ(やんちゃ者)」と呼んだことに由来しています。バッド・ボーイのブドウ栽培においては、テロワールを最大限に生かすため、シャトー・ヴァランドローと同様の手法で畑の手入れが徹底されています。樹齢40年以上のメルロを主体に、カベルネ・フランもブレンドされています。土壌に適さない台木やクローンは、たとえ若木であっても改植し、抜いた後は3年間穀物を植えて土地を休ませるなど、土壌改良にも熱心に取り組んでいます。また、ボルドーでは珍しい1.8mの高い仕立てを採用し、効率的な光合成を促進しています。醸造においては、かつて行っていたミクロ・オキシジェナシオンを止め、新たな選果機を導入することで、熟度の高いブドウのみを選別しています。こうして造られるバッド・ボーイは、ダークチェリーやブラックベリーなどの黒系果実の香りに、コーヒーを思わせる香ばしさ、そして重厚な凝縮感が特徴のミディアムボディの赤ワインです。力強いベリー系の香りと香ばしい樽香が調和し、複雑で奥深い味わいを生み出しています。
2,888 円~
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